2011年03月04日

JIA市民住宅講座 第2回・街歩き・街並編「水辺と路地、超高層ビルの街を歩く」(佃島・月島界隈)

2月26日、晴れ渡る気持ちのよい土曜日。住宅部会主催のJIA市民住宅講座 第2回・街歩き・街並編「水辺と路地、超高層ビルの街を歩く」(佃島・月島界隈)が行われました。一般参加者が11人、関係者が9人の合計20人での街歩きです。

 

当日12時半、JR両国駅に集合。近くにある水上バス乗り場から、水上バスで隅田川を南下します。船では屋上のデッキに出て、下町・深川や日本橋の風景、そして震災以降に復興された清洲橋や永大橋(設計:田中豊ほか)などの橋を眺めながら、江戸時代には盛んだったはずの水上交通に思いをはせつつ、船からの景観を楽しみました。 

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 聖路加で水上バスを降りて、そこからは街歩き。佃大橋を渡って、背景で異彩を放つ石川島のタワーマンション群を見ながら、江戸の風情が漂う「佃島」へと入ります。

 佃島と石川島は江戸時代にすでにありましたが、月島や晴海・豊洲など、その他のエリアは、明治以降の埋立地で、工場や倉庫で働く人の住宅地と計画的に開発されました。そのため整然と道路と路地が直行して並ぶ月島と違って、佃島は道路の方向が少しずれています。

 江戸時代に徳川家康を救ったと言われる大阪の佃村の漁師達を連れてきて住まわせ、特権的に漁ができるようにして、代々徳川家に白魚を献上させたのが、この街のはじまりだと言われています。故郷の住吉神社の分霊と徳川家の霊を奉った住吉神社も創建され、当時から続く「佃祭り」という本祭りが現在も3年に一度盛大に行われているそうです。また漁師の考えだした「佃煮」の発祥地であり、今でも数軒がここで営業を続けているようです。

 早速「佃煮」で有名なお店に立ち寄り、購入されるかたが数名。これもまた街歩きの楽しみのひとつでしょうか。お箸屋さんや住吉神社を通り、橋を渡って今度は石川島へと移動します。

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 石川島は江戸時代「人足寄場」があった場所です(いわゆる更正施設のようなもの)。また石川島播磨重工業IHIの操業した場所でもあります。今では「大川端リバ−シティ21」という大規模住宅開発地となって、高層マンションの立ち並ぶ独特な景観を造りだすエリアとなりました。地権者の多い佃島や月島界隈と違って、工場跡地など、再開発しやすい環境にあったことが、現在の状況をつくりだしたのだと思われます。

 下町風情の残る佃島と違って、高層マンション群の足下は、とても清潔感があり、整然とした気持ちのよい空間ではあるのですが、建物も空間も巨大で、人間的なスケールではなく、人と人との触れ合いが希薄で、少しよそよそしい印象を持たれる方も少なくなかったようです。 

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 再び佃島に戻り、佃小橋から佃堀の中に埋めてある佃祭りで使われる長さ20mの大のぼり(木の柱のようなもの)を見た後、佃堀横の狭い路地に入ったところにある佃天台地蔵尊を見学。長屋の中の狭い路地の中に地蔵尊があるだけでなく、そこにイチョウの大木があることに、皆驚いていました。たまたま通りがかった近所のお婆ちゃんが、ここの近くの住人は大変だと、、落ち葉の掃除かと思ったら、、家が根の力で持ち上がってしまい困っているとか。。こちらもまた驚きでした。

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 時間がなくなってきたので、急いで月島の比較的古い長屋と路地が残るエリアに移動し、長屋の状況、特に建て替えに関しての緩和規定などについて話をしました。中央区では「街並誘導側地区計画」を導入して、道路斜線、そして前面道路の幅員に関しての緩和を設けて、路地に面した住宅でも建替えができるように工夫をしているようです。

 

現代の住宅、特に中高層の集合住宅では、建物の性格上、どうしても意識して行動しないかぎり、近隣とのコミュニケーションは不足しがちです。それに対して、江戸時代からつながる木造長屋と路地の空間というものは、人と人とが密に触れ合い、コミュニケーションも非常に濃いものとなっているように感じます。車の通行しない安全な路地は、子供達の格好の遊び場となっているはず。広さ・採光・通風などの居住環境、そして防火や耐震性能など、解決すべき問題が多いのは事実ですが、現代の住宅では得にくい、近隣との密なコミュニケーションと、日々の暮らしの豊かさ、といったようなものは、今後も率先して継承していかなければならないテーマではないかと、改めて感じました。

 

最後に月島のもんじゃストリートに移動し、「もん吉」というお店で、総勢20名で、もんじゃ焼きの懇親会となりました。おかげさまで天気にも恵まれ、とても気持ちのよい「街歩き」ができたように思います。御参加頂いた皆様、ありがとうございました。

 次回の第3回・街歩き・住宅編「日本的な住まいと暮らし」は、4月30日(土)江戸東京たてもの園にて開催予定です。

ご興味のある方は是非御参加下さいませ。

http://www.jia-kanto.org/members/event/event_m/lecture/bukai20110430.html

JIA関東甲信越支部住宅部会HP  http://www.jia-kanto.org/jutaku/

住宅部会:湯浅剛(アトリエ六曜舎)




posted by 住宅部会 at 22:21| JIA市民住宅講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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